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埼玉県高等学校演劇連盟 川越・坂戸地区大会1日目

 会場は、尚美学園大学2000年記念館です。
 今回は、上演参加ではないので、
リハーサルにも階段を運ぶ意外にはまったく参加せず、
上演2日間も観劇するだけだったので、
劇評を書いてもいいかなと言う立場です。
 審査員は小池正之さんと都立駒場高校の長りえ子さんです。
 小池さんは、私が新任の入間高校の時からのつきあいで、
演劇部顧問としてのノウハウを教えてくれた人です。
川越女子高校『マナちゃんの真夜中の約束・イン・ブルー』作:中村勉
 私は今回の大会で照明委員会に属して、
事前に川女の照明プランを見て、
青を使わないことに疑問を持っていました。
赤い照明ばかりで、
どうして青の使い方を追求しないのだろうと思いました。
ストロボもたいしたけど
効果なし。この芝居は、
台本を読まずとも題名から、
舞台をイン・ブルーにするべきだと私は考えました。
 小学生の女の子マナちゃんが寝しなに『銀河鉄道の夜』を読んだためか眠れず、
ナイトメアーの世界に迷い込むことで、
普段の生活の中で感じている様々な不安の中に引き込まれていくという話だったと思います。
 以前、所沢商業の芝居をうつらうつらしながら見たときにはまったく理解できませんでしたが、
今回しっかり見てもあまり判りませんでした。
一応全国大会で上演された作品です。
よくわからなかった原因は、
たぶんコロコロ変わる空間を演出的に区別できなかったからだと思います。
 ベッドの周りにカラフルな箱がたくさん置いてありましたが、
その色が必要なのか疑問でした。
もっと照明も含めて色にこだわるべきだったのではないでしょうか。
 役者たちは、しっかりと相手のセリフを受け取っていないと思います。
 難しい台本に挑戦したけれど、
この台本のどこが難しいのか理解していたでしょうか。
そのまま上演して伝わる台本もあれば、
役者の演技や演出の工夫がないと伝わらない芝居もあります。
川女の生徒が翌日の筑坂の芝居を見て、
よくわからなかったとすれば、
原因は同じ所にあると思います。

川越高校『Meine Zeit Wird schon Kommen!~私の時代~』作:阿部哲也(顧問創作)
 今回の大会で一番楽しみにしていた作品です。
2年振りの顧問の阿部さんの作品がどのように仕上がっているか興味があったからです。
今大会唯一の創作作品です。
 芝居は、メンデルの法則を発見したメンデルとその周りにいた修道院の人々の成長の物語でした。
 4年前の『いちゃうの精蠹』ととても似ている構造の作品でした。
しかし『いちゃうの精蠹』に比べてドラマが弱いと感じました。
メンデルが発見した法則を発表するも世間に相手にされず、
そのための挫折もありまた修道院の仕事にも追われて研究から遠ざかるも、
新たに決意し直すというストーリーを劇的には作り上げられていませんでした。
 今回の作品で一番の問題点は役者の力でと思います。
セリフがこれまで以上に聞き取れないことが多かったです。
さらに、相手のセリフを聞かずにセリフを食い気味に言ってしまうことが多かったです。
長くて難しいセリフだったかも知れませんが、
たとえそうであったとしても、
もっとしっかりセリフのやりとりをするべきだと思います。
 また、役作りのせいか衣裳の変化が乏しいからか10数年の間の経過が、
セリフからしか伝わってきませんでした。
 メンデルの部屋のシーンの机の向きはどうだったのでしょうか。
椅子に座った役者は裏返っていました。
役者が客席を向くように置くべきだったのではないでしょうか。
司教の年齢というか偉そうには見えませんでした。
こういう細かい点にもっともっとこだわってほしいです。

川越総合高校『Angel Tear』作:緋村カズキ
 シオンと言う科学者がアリスという新しいアンドロイドを作る。
そのアンドロイドを引き取りに来た旧友のゼロを迎えたところ、
シオンの持病が明らかになり、
死んでいく話です。
 台本は、厳しくいうと上演に値しないものでした。
 ゼロは、アリスを引き取りにシオンのラボに訪れてきていったい何ヶ月留まったのでしょう。
アリスが言葉を覚えるまでで2週間、
シオンが死んでから6ヶ月。
そんなのあり得ないでしょう。
 できたてのアンドロイドのアリスが言葉を覚えるとかまったく理解できないです。
アンドロイドが人間と同じように幼児言葉から徐々に言葉を覚えていくっていうのはまったくリアリティーがないです。
もっといい台本を選ぶべきだと思います。
 役者はもっと発声練習しましょう。
セリフのやりとりもできていません。
セリフが届いていないし、
受け取っていないです。
 衣裳は、最初に登場した3人が3人とも上が白いシャツでした。
そういう点にも工夫が必要です。
 川総だけではないですが、
照明の使い方もダメでした。
最後に歌うところ。
横一列に並んだら上下1台ずつのSSでは拾いきれません。
狙いを考えて照明を利用してほしいです。
 最後に歌を歌って芝居を終わらそうとするのも、
台本の弱さを誤魔化すためのテクニックです。
とにかくもっと良い台本を選んでほしいです。

by kawagoenishi | 2017-09-16 19:23 | 演劇 | Comments(0)

高校の演劇部の顧問のほぼほぼ日記です。

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