大宮地区地区大会劇評①

10/8①上尾高校『仮面の姫とひとりぼっちたち』作:高橋定位置
 ネット台本。クラスメイトたちが財閥の跡取りである令嬢の性格の矯正を目指すお話。
 予想通り、設定があり得ず、書く登場人物の性格設定もいい加減で、
まったくドラマとして成立していない台本でした。
 たとえば、和仁の香澄への恋愛感情について。台本9ページで「去年、浅井さんを初めて見た時に一目惚れしたんだ」
という台詞が出てきますが、それまででは5ページで香澄に怒られて「可愛いなあ」と言うだけで
それ以外は芝居の中でまったく香澄への恋愛感情は表現されません。1年近く前に一目惚れした相手と同じクラスになれて
喜んでいないのはおかしいでしょう。
 3人兄弟の末っ子という設定だった香澄を自分たちで一人っ子に変えたのだから、
他の不自然な部分ももっともっと変えていくとか、逆に徹底的にコメディとして演じるかしなければ芝居にならないと思うのですが、
結局全体としては台本に対して真面目に取り組んでいました。
 教室(室内)のシーンだけなのだから、ホリゾントではなく大黒幕を使用するのが一般的です。
 最初のシーンだけに、台本に書かれていない同級生の役者が3人登場しましたが、
芝居をするわけでもなくそこにいるだけで、どれだけの意味があったのでしょう。
しかもセーラー服のスカーフもセリフのある役者たちと違っていたので、違和感を感じました。
 教卓に演壇が使用されていて不自然でした。
 夕陽の明かりは、アンバーがキツすぎでした。生の前明かりまで点けないとさすがに見づらいです。
 登場人物たちが鞄を持つ者、持たない者とその扱いが適当でした。
 チャイムのSEが入るタイミングが遅かったです。台詞に被るぐらいで入ってほしいです。
圭司役の役者は、もしかして自分が達者な役者だと勘違いしていないでしょうか。
様々な声色を使い分け、自由に動き回れていると。でもそういうことは、しっかり台詞が届けられ、
しっかり台詞を受け取れるようになってからするべきことです。
格好つけて言う台詞は聞き取れないことが多かったです。
 香澄は、もっと見た目をお嬢様にできなかったでしょうか。超ロングで立てカールのウィッグをつけるとか。
特例で1人だけドレスを着ているとか。
 和佳奈は、人見知りキャラにまったく見えませんでしたが、それは台本のせいです。
だったら、台本からそういう設定を抜いてしまえばイイのにと思いました。
 香澄のSP役の岩本さんの造形や立ち位置は、もっと工夫が必要だったと思います。
田村先生は、アニメ声であったこともあり先生には見えませんでした。どちらも役作りに工夫を。
 制服が4月に見えませんでした。初夏のようでした。
 「RTB」は、ドイツ語なら「アールテーベー」と言うべきだと思います。
そういうことは、たとえコメディであっても怠けてはいけないことで、それが芝居のリアリティです。
せっかく椅子があるのだから、もっと座って芝居をすればいいのにと思いました。
横一列になって芝居することが多くなってしまいました。


10/8②桶川高校『夏風が運ぶ思い出』作:九国光
 ネット台本。お互いに思いを寄せているまみとけんの2人だが、まみの何気ない嘘によって
お互いの気持ちを知ることなく過ぎていくという2人芝居。
2週間前に急遽キャスト変更で、舞台経験のない2年生がまみの代役に入ったそうです。
 その代役のまみは、とにかく声が小さかったです。でも言葉が明瞭なので、
つい聞き込んでしまいました。けんがいい味のあるキャラクターだったこともあります。
 舞台がほとんど教室でしたので、ホリゾント幕でない方が良かったでしょう。
 中割幕をせめて、もう少し芝居のエリアを狭くした方が良かったのではないでしょうか。
 机の置き方が良かったので、2人の芝居がやりやすかったようです。
ただし、まだまだ立っての芝居は難しく、無駄に動き回ってしまいます。
舞台中央に立って、客席に向かって台詞を言うのも不自然です。
 大道具は机は一般的な教室の机なのに、椅子が折りたたみでしかもテカってしまうものだったのはダメだったと思います。
 2人の上履きの色が違いました。クラスメイトなら同じ色にするべきです。
 台本でまみの友人が「斉藤ゆき」だったのは、別の名前に変えた方が良かったと思います。
 暗転はできるだけ作らない、なるべく短くが鉄則です。
 単サスは、前からの明かりはできる限り避けた方がいいです。床のハレーションがホリゾント幕に映るからです。
大黒ならそれもだいぶ避けることができます。この学校だけではないのですが、単サスが大き過ぎます。
大き過ぎると単サスの効果が薄れて(役者以外の余計なものも照らしてしまったりとか)、
エリア明かりのように見えてしまいます。
 時代が経過し、10年後ぐらいの2人。まみは、同一人物だとは思えないほどの変化でとても良かったです。
一方のけんは、外回りのサラリーマンならば夏ではあってもスーツの上着を持っているべきだと思います。


10/8③岩槻高校『しろやぎさんとくろやぎさん』作:長谷川芳輝
 ネット台本。最初にくろやぎさんに届いたの手紙の謎を巡る物語?でした。
 黒山羊は、立ち姿がとても綺麗でした。声もよくて、台詞を噛むことが多かったのは残念です。
白山羊は、声が小さかったですが、間が良くて笑いを誘いました。
青柳役の役者は、最初の飼育員をどう演じるかが問題でした。
動き回りながらで、しかも相手の方を見ないと台詞が言えないようでしたが、台詞も芝居も流れてしまっていました。
 黒山羊、白山羊のノースリーブの衣裳は、避けた方がいいです。白山羊の短パンも。
白山羊は、白髪のウィッグをつけてもイイと思いました。
青柳の着替えのためと思われる長い暗転がありましたが、
暗転を長くするぐらいならば帽子とかバッグとかだけで人物の違いを示すので十分だったと思います。
 ホリゾント幕に色を入れないことが長くありましたが、ほとんど素舞台の様な舞台で、
ホリゾント幕に色を入れないのはダメです。観客は、色の入っていないホリゾント幕に風景を感じないからです。
なんらかの色を入れてください。
 舞台袖から台詞を発するのは、うまくいっていませんでした。
事前に録音して、音響が流すかマイクを使った方がいいと思います。
 台本の間違いをそのまま訂正せずに演じてしまい、芝居が成立していませんでした。
その同じヶ所で男(青柳)の立ち位置を舞台中央ではなく、袖に近くして白山羊が袖から見えるか見えないかぐらいにしないと、
ドキドキ感を演出するのは難しかったです。
 音楽を流すときは、フェードイン・カットインは、計算して使い分けるべきです。
 最後の青柳の去り方は、もっと余韻を残して、もっと芝居をしながら去って行くべきだったのではないでしょうか。


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by kawagoenishi | 2016-10-10 17:53 | 演劇 | Comments(0)

元?高校の演劇部の顧問のほぼ日記です。