2016年 10月 11日
Aブロックの審査について
Aブロックの審査について簡単にまとめておきます。
①台本
事前に台本を読んで、楽しみに思った作品は、
細田学園・久喜の『桜井家の掟』(作:阿部順)、
朝霞西の『BETTER HALF』(作:鴻上尚史)、
新座の『パヴァーヌ』(作:曽我部マコト)、
朝霞の『ハルシオン・デイズ』(作:鴻上尚史)、
新座柳瀬の『Love&Chance!』(作:稲葉智己)、
宮代の『肉体改造クラブ 女子高生編~ギャルゲー・ダイエッター~』(作:古城十忍)、
大宮商業の『BANANA'S BIRTHDAY BASH』(作:楽静)、
伊奈学園総合の『眠りの切り札』(作:樋口美友喜(樋口ミユ))
でした。
ただし、朝霞西と伊奈学園総合は、高校生が演じるには、チャレンジしたといえば聞こえはいいですが、
背伸びしすぎていたと感じられました。どちらもテキストレジに苦労したのだろうと思います。
これ以外の作品は、そもそも台本として成立していないか、古くて時代性が合わないと感じました。
唯一の例外は、岩槻の『しろやぎさんとくろやぎさん』(作:長谷川芳輝)で、
この作品は芝居を見てみたら意外に楽しめました。
設定があり得なかったり、会話が成立していなかったり、感情が自然に流れていなかったり、
芝居としてのリアリティを備えていなかったりする作品を上演して、観客の心をつかむのはとても難しいと思います。
②役者
ほとんどの役者が、役者としての基本的な力を備えていると感じられた学校は、
和光国際・新座・新座柳瀬・幸手桜・宮代・伊奈学園総合でした。
新座は少し声が小さかったけど一番自然な会話ができていました。
新座柳瀬は相手に背中を向けても会話ができる唯一の学校でした。
和光国際・宮代・伊奈学園総合は、距離感などがしっかり理解して演じていました。
幸手桜は、声はしっかり出ていてエネルギーが感じられる役者がたくさんいましたが距離感に難点がありました。
これ以外の学校は、そもそも声が聞こえない、相手に台詞を届けられない、
客席に声を届けられない、動きながらでないと台詞が言えない、相手の台詞を受け取れない、
台詞がないときの芝居ができない(聞いていなかったり余計なことをしたり)ということです。
例外は上尾南で、はっきり台詞を言うのはいいのですが、言葉を切りすぎるし、
喋るペースが遅くて、その独特の台詞回しが舞台を客席から遠ざけていました。
③大道具・音響・照明・衣裳
スタッフの面で良かったのは、和光国際・新座・新座柳瀬・幸手桜・宮代・上尾南・伊奈学園総合です。
これは、②であげた学校とほぼ同じです。そうなってしまうのは、
技術指導をする顧問がいるかどうかということになるのではないでしょうか。
④演出
ですので、演出ができているのもこれらの学校ということになります。
オープニングやエンディングが綺麗にできるのもこれらの学校でした。
さて、これら台本・役者・スタッフイングという点を元に19校の芝居を評価をしてみると、
県中央発表会への推薦の対象となる学校は、新座・新座柳瀬・宮代の3校、
そのうちの2校を推薦するということになります。
私が一番好きなのは新座の『パヴァーヌ』でしたが、
総合的な部分(新座は大道具や衣裳などスタッフ面での問題点が多数あったことなど)や
2人の審査員の合議の結果、新座柳瀬と宮代を推薦することになりました。
新座高校の皆さんには残念でしたが、来年また頑張ってください。
今回の審査で驚いたのは、大宮商業の『BANANA'S BIRTHDAY BUSH』という台本が、
作者があの楽静であるにもかかわらずそれなりに面白かったことです。
頑張って探せば、イイ作品と出会えるということです。
まず、説得力のある作品を見つけてください。役者や大道具がどんなに素晴らしくても、
台本に力がなければ、観客の心には何も届かないからです。
逆に、どんなにイイ台本でも、役者に力がなければ、やはり観客の心に何かを届けることはできません。
60分近い芝居の台詞を覚えて、動きを覚えて、それを間違えずにできるようになるのはとても大変ですが、
そこで満足せずその次を目指してほしいです。
しっかり発声練習や基礎トレをして、役者の声と身体を手に入れてください。
緞帳が上がって、単サスが落ちてきて、その中にいる役者の第一声が、客席に届いてこないと、
もうそこで芝居と観客の関係は、不幸なものになってしまいます。
相手役に台詞を届けるということを意識して台詞を言うようにしてください。
今回、桶川高校は2週間前にキャスト替えが行われ、舞台経験のない部員が代役をつとめました。
声は小さくて聞き取りづらかったけど、声が明瞭なこともあり、さらに必死に台詞を伝えようとするからか、
こちらも一生懸命聞き入ってしまいました。声が小さくても、役者が伝えようと意識して台詞を言えば、
台詞は生きたものになるのだと思います。
台詞を届けられるようになる前に、声色を変化させるとか、可笑しな動きを入れるとか、
そういった小手先の演技で誤魔化したり満足したりするのではなく、まずしっかり会話をしてほしいです。
台詞を相手に伝えて、相手の台詞を聞く。普段当たり前にやっていることを、舞台でもできるように練習してください。
新座柳瀬と宮代の2校の皆さん、県中央発表会でも頑張ってください。お疲れ様でした。